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思い出横丁の夜

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10月某日、新宿のとある呑み屋で1年半ぶりにあの子に会う。
バスク、サンセバスチャン。
写真で見る限り信じられないほど美しいビーチと、緑の山を携える。
ガイドブックにはかなりの美食家をもうならせるような素晴らしい食文化も持っていると書かれている。

わたしがその地に生まれたら、どんなに懇願されてもその場を離れたくないと思うような街だ。

そんな場所から、毎年のようにこんな小さなゴミゴミした場所に会いにきてくれる。
私は毎年あんたに会いにきてるのに、あんたは一度もこないよね。
とぶつくさ文句を言いながら、、、。

また少しやせて、あいかわらずの生意気そうな風貌に磨きがかかった。

今年はなんと、日本語学校に通い、はじめてのホームステイに挑戦している。
まったく知らない家族とうまくやれるのかどうか、親のように心配していたが、案の定、、、、難しいらしい。
彼女はビーガン(菜食主義)なのだが、どうも最初から家族に、肉や魚もありがたくいただかないとダメだということを説教されたようだ。
わたしもその案には基本的に賛成だが、食べたくないというのを無理に押し付けるというのはどうかと思う。人には人の精神があり、わたしたちはそれを尊重せねばならないのではないか。
ましてや契約時にビーガンであるということを受け入れているのだから、彼らはやはり相応の食事を用意するべきであろう。
なんと信じられないが家のお母さんは、食べるまでじっと見つめ続け、彼女のいい分には耳をかさなかったとため息をついた。
その夜は食事にありつけなかったようだ。

同じ家にステイしている、カナダ人の男の子も一緒に来てその夜の小さな集いに加わっていた。
彼は日本のアニメやアイドル歌手が好きで、どうしても日本に来たくて1年間の留学に踏み切ったのだという。もうかなり日本語もわかるようだった。
アニメが好きで1年間も留学を決めてしまうというのは、まったくすごいことだ。漫画家じゃない限り、なかなかそれで生計を立てられるわけでもないだろう。つまりは趣味の近くにいたくて、もっと理解がしたくて、、、ただそれ一心ということである。
すごいなー、ほえーっとへんな声をあげてしまった。
彼は、アルコールをまったく飲まず、人が食べ残した皿ばかりつついて、新しい料理をたのもうとすると、いい、いいと遠慮するちょっと変わった青年であった。
海外のオタクくんもやはり変わったところがあるものなのか。

福島の話になった。
本当のところはどうなっているんだと聞かれ、答えにつまる。
わたしも知らない。
そう答えるしかない実情がつらい。
二人とも、日本に来る前に家族や友人からそうとう止められたようであった。
わたしたちはそういう国に住んでいる。

友人がひとこと
でもさ、まぁけっきょくわたしたちいつか死ぬんだから、いいじゃん。
そう言った。

あぁ、彼女のそういうところが好きなのだ。
わたしはぬるくなったビールをぐびっと飲んで、そうだそうだと調子を合わせた。
その瞬間は5年前と、何も変わっていないように思えた。
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by galwaygirl | 2013-12-10 17:17 | 日常の旅日記
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