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幸田文「きもの」を浴衣で語らう。〜人生初の読書会参加〜

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幸田文さんの「きもの」という本を読んだ。
はじめて読む作家さんで、恥ずかしながら”こうだふみ”さんと読むんだと思っていたくらいだった。(正しくは”こうだあや”さん)

読み始めてすぐに、その日本語の美しさに圧倒された。
なんていう言葉の選び方なんだろう。。
完璧に近い美しさをたもちつつ、堅苦しくなく文章そのものが生きている。
ときおりユーモアも感じるそのセンスは、本当にすばらしかった。

本を読むとき、ストーリーそのものよりも
その言葉の選び方や、文章そのものにぞくぞくしてしまうたちなので、
読んでいて、心臓を打ち抜かれること多数。

それは、なにかたとえたい、、、うーん。。
それはまるで、、、、まるで、あまり奇抜なことはせず、やっている曲も定番のスタンダード。
流れるビルエヴァンスのような繊細なピアノトリオのライブ。
でも、一見手堅い3人の掛け合いは微妙なところで変化し続けていて、ときどきドキッとするようなフィルインでしかけるドラム。ベースは寡黙なふりして、そのリズムはキワどい。
そんな3人の緻密でハイセンスなやりとり。そういう感じ。。。かな、、、、


あ、だいぶ話がそれてしまった。。すいません。


とにかくそんな、だいぶわくわくする展開だったのだ。


内容は明治時代の終わり頃、きものの着心地や日頃見過ごしてしまいがちな小さな、でも大切なことにひとつずつ目をむける主人公るつ子。よき祖母から、家族から世間からいろんなことを学び成長していくさまをきものを通して描いた話。着るということについて、人生において所作の大切さを教えられます。

登場人物が本当に魅力的だった。
純粋で繊細な主人公るつ子とありえないくらい意地の悪い姉2人、完璧に悟りの境地のおばあさん。
もっとも生身の人間らしいお母さん。駄目色おとこのお父さん。。そんな家族のはざまで、まったく色の薄いお兄さん。など、、

とくにおばあさんのキャラクターは本当にかっこよくて、こんな人が一家に一人いたら地球は完璧に平和になると思った。
そのおばあさんの台詞がまたかっこいい。いくつかかなり胸をわしづかみにされたものをご紹介します。

・「いい気分だったろ。好きな着物がきられて。多分、一生おぼえてるだろうし、いつ想いだしても、はじめて気に入ったものを着たときのことは、いい気持ちのものだよ。」(はじめて自分で反ものを選び、着物をつくったるつ子に、おばあさんが言った言葉)

・「威張るには威張るだけのことをしなければならないし、それがわかると人間がふっくり炊きあがってくるからねえ。」(姉が嫁にいった後で、突然家の中で幅が広がってきた次女のことをるつ子に説明した言葉)

・「しっかりしていておくれ。地面がゆさぶられたということは、暮しも揺れたし、身も心もたわいなく動いちまうってことなんだよ。」(関東大震災のあと、しかたなしに足袋などを売って暮らしていたときに、ついそれがおもしろくなって、蓮っ葉になってきてしまったるつ子をしかった言葉)


とくに3番目はこの東北の大震災で、ゆれたときに自分自身がとても感じていたことだったので、ばしっと言われて、はっとした言葉だった。
こんなおばあさんがいたら、、と誰もが思う人だと思う。



そして、お母さんが心臓の病で床に伏し、急にすっと逝ってしまったときのあの3行ほどの描写。
とても静かで、ついさらっと読み流してしまいそうになり、えっ!と思ってもう一度読み直した。
そのくらいの静寂だった。
でも、人が死ぬときってきっと本当にそんなふうに静かなんだと思う。
それまで苦しんでも、最後の最期はすっと静かにいってしまう。


みょうにすごくリアルで、読むのがつらかった。


きっとこの本は、私にとって特別な1冊になると思う。
きっとあまり読み返すことはない。
でも、ずっと大切に持っておきたい本。

そういうものに おそらくなるだろう。



なぜ、この本を読んだのかというと
最近入会した猫町倶楽部というところの読書会に参加するため。
とても大きな読書サークルで、会員数も延べ5000人!?というところ。

参加資格は、課題本を読了することとドレスコードに准ずること。
今回のドレスコードは浴衣!
かなり緊張してなれない浴衣を着て、参加しました。
でも、浴衣を着ることで本の世界に少し入り込めたような気がして、それがとてもよかった。

会場には70人近い人たちがいて、もちろんみんな浴衣。
なんて華やか。
男性も女性もみんなきれいで、見とれてしまうほど。
そんな人たちを見ているだけでも楽しかった。

小さなグループにわかれ、きものについて話し合う。
みんな、すごくよく読んできていて関心するばかりだった。
私は自分の話のへたさに、辟易しましたが、、でも出会ったばかりの人たちと本について話すなんてことまずできないことだし、本当に楽しかった。

さて、ベストドレッサー賞なるものがあって毎回投票で決めるのだそう。。
今回はだんとつで、女性ものの浴衣でメイクもかつらもばっちりきめて、その格好で電車に乗っていらしたという
男性の方が受賞しました!
たしかに、女から見てもきれいで完璧でした。


おもしろい会でした。
またぜひ参加したい。。
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by galwaygirl | 2011-08-26 21:23 | 日常の旅日記
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